第十六話 最終弁論

ここでは、「第十六話 最終弁論」 に関する記事を紹介しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


第十六話 最終弁論
アルツハイマーで苦しむ妻、こんな惨めな状態なら死にたいと懇願する妻、そんな妻にモルヒネを投与し安楽死させた男を弁護するAlanの最終弁論です。理屈や法論理で構成するというよりは、陪審の感情に訴える『役者』を演じる弁論構成となっており、「役者としての弁護士」の力量を見せる弁論になっています。

安楽死と尊厳死が明確には区別されていないこと、IIIの箇所で「安楽死は人間的な行為だ」という理論の飛躍があること、といった疑問点は残りますが、

I 考え方の提示
II 考え方を現実の問題/自身の問題へ適用するよう呼びかけ
III 具体例を示して問題を考える
IV 本件にも考え方を適用してみる
V 本件に対する結論

というBoston Legalで展開される典型的な最終弁論構成です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

I. まずは今般の問題を考えるための視点を冒頭に述べます

視点1:自殺幇助は表面的には禁止されているが、Terri Schiavo事件でならされた鐘をきっかけに、公然の事実ながら多く実施されている(病院での末期患者の70%の死因)。
  • The dirty little secret is we went down that slope…, years ago. Officially we say we’re against assisted suicide, but it goes on all the time.
  • Seventy percent of all deaths in hospitals are due to decisions to let patients die. Whether its morphine drips or respirators or hydration tubes. With all due respect to the Terri Schiavo fanfare, patients are assisted with death all across this country all the time.
視点2:実際に事件性を調べれば済むことで、警察が尋問なりして死因に不審な点があるなら起訴すればいいが、今般の件は純粋に夫が尊厳死を望む妻に従っただけだ。
  • As for regulating motive? Here’s a thought. Investigate it. If we suspect foul play, have the police ask questions, if it smells funny, prosecute.
  • But here, there’s no suggestion the Mr Myerson’s motive was anything other than to satisfy his wife’s wishes and spare her the extreme indignity of experiencing the rotting of her brain.

II. 陪審に上記の視点を擦り込んだあと、たっぷりと間を置いて、力強くゆっくりはっきりした言葉遣いで短く簡潔に問いかけます。すなわち本件を自分自身の問題として考えさせるよう仕向けるのです。

Can you imagine? Would you want to live like that?  

III. 迷っている陪審や、人間の死に立ち会ったことのない陪審もいるかもしれません、そこでAlanは12年前にペット(名前はAlan)に起きた自分自身の安楽死の例を引き、陪審に考え方の例を見せます。また安楽死は人間的な行為だと主張します。役者ですねえ。
  • I had a dog for twelve years. His name was Alan. That was his name when I got him. He had cancer in the end. That, in conjunction with severe hip displacement, and he was in unbearable pain. My vet recommended, and I agreed, to euphemize him. It was humane, which we, as a society, endeavor to be, for animals.

IV. 具体例を引いて身近な事例を考え「安楽死=人間的行為」という命題を強引に導いた後で、今般の被告の行動を改めて考え、「人間的(humane)」ではないか、と擦り込みます
  • My client’s act was humane. It was a selfless one, it was a sorrowful one. Ms Myerson’s nurse testified as to the profound love Ryan Myerson had for his wife.

V. 最後は、“ultimate”といった形容詞に続けてloveやkindnessといった人間性を意識させる単語をならべ、陪審の人間としての人間の自意識を刺激したあと、たっぷりと余韻を残すように間を置いて視点2を改めて意識させる最後の台詞に映ります。
  • Sometimes the ultimate act of love... and kindness...
  • If you think this man is a criminal, send him to jail. But if you don’t... don’t.
///

「尊厳死」に尊厳はあるか―ある呼吸器外し事件から (岩波新書)「尊厳死」に尊厳はあるか―ある呼吸器外し事件から (岩波新書)
(2007/09)
中島 みち

商品詳細を見る



スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://hyoronglish.blog59.fc2.com/tb.php/282-ccb561b2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。