女性の髪に宿る力

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第十話 Melissa, Jerry, Alanの三人は、クレジットカード会社の代理人の到着を部屋で待ちますが、こういった場に不慣れなMelissaは髪型がおかしくないかAlanに尋ねます。

Melissa Hughes: How’s my hair? Does my hair work?
 私の髪どう? いけてる?

Alan Shore: It does appear to grow each month.
 毎月ちゃんと伸びているようだけど

Melissa Hughes: It’s my first settlement conference. There is a lot of power in a woman’s hair.
 示談の話し合いなんて初めてなの。女性の髪には力が宿っているっていうでしょ

女性の髪には力がある、というのは何やら奥の深い世界が広がっていそうな言葉です。髪は女の命、とはよく聞く言い回しですが、いろいろ調べてみたところ日本にはファッションの観点で髪を女の命と位置付ける文化的な背景を否定できないものの、髪に力が宿っていると考えるまでの文化や思想は無いようです。ところが、欧米には女性の髪に力が宿っているとの思想があるようで、ざっと検索しましたらまあ沢山の論考にヒットしました。

どうやら新約聖書コリント人への手紙第11章 に女性の髪に力があると読み取る表現があるようで、元の言葉Exousiaがラテン語圏の言語に訳されたとき、正確には”Symbol of authority”という意味の語に訳すべきであったところ、英語で言うPowerに該当する語に訳したそうなのですが、そのままPowerの訳が根付いてしまい、かつ人口に膾炙したようで、以来「女性の髪=power」という、(よくよく考えれば眉唾ですよね)、組み合わせはまことしやかに伝播し、欧米で思想として発展していったようです。

おかげで西洋世界では、女性の髪については太古より様々なエピソードやモチーフが編まれ、おなじみの絵画や寓話として現代にまで継承されています。
上記はほんの数例ですが、乱暴にいうと女性の髪に関する概念は、一つは「神聖、生殖といったプラスの力の系統」、いまひとつは「性の罪、魔力といったマイナスの力の系統」の二つに分類できそうです。また「エロス」という複雑な概念はプラスマイナスを超越して全ての「髪」の背後に潜んでいるようです。

特に欧州ではフロイトの出現を以って「女性の髪=power」説はある種の哲学にまで昇華したと考えられます。フロイトによるとGorgon 3姉妹(Medusa, Stheno, Euryale)は「天性の睾丸潰し女」 (筆者注:archetypal female ball-busterを日本語にしましたが、あまり良い訳ではないですね) で、特にMedusaの蛇髪は去勢コンプレックスを煽るものだとします。蛇を頭に載せる女性、蛇の噛む/飲むという行動、蛇の絡み付く動作等が示す女性器のイメージ、それら情報を総合するとフロイト先生のいう天性の睾丸潰し女による去勢コンプレックスに至るようです。

おそらくBoston Legalの脚本家はこの辺りの事情まで汲んでMelissaの「女性の髪=力」発言を書いたと思いますが、Alanにはさらりと会話を締めくくらせています。前述の会話の続きです。

Alan Shore:
Yes there is. I think we’ll let my slightly less powerful hair run the meeting.
 宿っているとも。とりあえず僕のちょっと力ない髪でミーティングを仕切るよ。
 
///

女性の髪と言えば矢張りMedusaが象徴的ですね。Freudでなくともあの髪と逸話に何か感じてしまいます。

メデューサ/青年ヘラクレスメデューサ/青年ヘラクレス
(2005/09/25)
渡邉博之

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当記事を書くにあたりましては、Wiki、Yahoo知恵袋をはじめ、上記様々なリンクを参照しましたが、主として下記の2つの論考に多くを負っています。
http://newhumanist.org.uk/982
http://www.preachingpoints.com/2008/11/on-womens-uncut-hair-and-powerauthority/
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